シャトー クリネ / ポムロール 2013 (フランス)
シャトー クリネ / ポムロール 2013(赤)
VT:2013
生産国:フランス
生産地:ボルドー
葡萄品種:メルロー90、カベルネ ソーヴィニヨン9、カベルネ フラン1
コメント【商品説明】:
「ポムロール」という表現の追求。
ちょうど2013年の春、こちらのシャトーにお邪魔しました。もうずいぶんと時間が経ったのだなと、ワインを見る度に思い出します。あの時植わっていたブドウがこれなんだなって思うとちょっと感動しちゃいますよね。
ポムロールでワインを造る人たちの理想や苦労を教えてもらったのですが、それはもう結構な覚悟で自然(と世間)に立ち向かう必要があるそうで。
なにしろ、ポムロール=黒粘土のメルローがすごい!なんてイメージがペトリュスのおかげで世界中に広まってますから、その理想をどうやって具現化するかってのがシャトーの成功(もしくは、ペトリュスに近づく事)に繋がるそうで。
しかし、ポムロールに畑が有るだけで黒い粘土層にメルローが根を張るかって言うとそれが一言で言って難題で。
上の写真がムエックスさんのとこのペトリュスの畑です。道と畑で色が違うんですよね。ペトリュスの畑はポムロールの中でも特異的に表層面にまで黒粘土層が露出している最高の区画。なぜ黒粘土が良いかと言うと、粘土層は保水性がないので育ってしまうメルローの根に圧着する事で水分供給が少なくなり、生育にストレスがかかる為、ブドウが自分自身で「もっと頑張らなきゃ!」って思うのか、美味しい実を付けるんです。
ペトリュスの畑から一歩外に出ると、黒粘土の層は地中深くまで潜ってしまって、普通にブドウを植えたって粘土層まで値が伸びるのに時間がかかりますし、地中深くで粘土層に根が刺さらないで、粘土の上を根が這ってしまってメルローにストレスがあまりかからない、ある意味ブドウにとっては平和な環境になってしまうんです。
そこで、彼らが何をしているかと言うと、上の写真にあるような「密植」を行います。ちょっと、分かりにくいかもしれませんが、ブドウの木を植える間隔がペトリュスよりもクリネの方が近いんです。ペトリュス以外のポムロールの畑はだいたいそんな感じです。
そうするとですね、ブドウの木の値は横では無くてまっすぐ下に勢いよく伸びて、地中深くの黒い粘土層に突き刺さり、ペトリュスの様に凝縮したブドウを手にすることが出来るって言うのが彼らの目指す方程式なのですが、実際のところ本当に根が粘土層に刺さっているかは確認が出来ません。
しかし、クリネの広報の方は言い切ります。「うちの根は粘土に刺さってます。他のシャトーの根は粘土層に刺さらずにその上を這っている可能性はありますが」と。粘土層の深さなどが影響するようなのですが、まあ何より飲んで感じてねって所が大きかった気もします。実際、テイスティングルームで頂いたワインはどれも格別の仕上がりでした。
クリネさんはとても優雅な運営を行っておりまして、この彫刻入りの樽、最高の状態の原料から造られる最高級品で、目ん玉が飛び出るくらいに高額で、誰でも購入できる代物でもなく、他のシャトーですとガラスケースに入れられて鎮座していたりもするのですが、普通に貯蔵に使われています。大きなオークの発酵層の入れ替えサイクルも早く、貯蔵・醸造の消耗品のコストが他の同クラスのシャトーよりも投資が惜しみなく行われているのだと実感しました。そのリッチな装いが一番色濃く出ているのがシャトーのトップキュヴェである、こちらのシャトー クリネです。
評価は年々上がる一方で、必然として順調にお値段も上がっていくのですが、今回、アストルさんのインデントのリストで破格のクリネを見つけたので発注をかけました。
酒屋がワインを仕入れる時、各輸入元のバイヤーが定期的に生産者や仲買等の取引先から仕入れ、日本に在庫しているワインの中から購入するのが主ですが、定期的にインデント入荷案内というのが届きまして、例えば「フランスの取引先から在庫リストが届きました、必要なワインがありましたら船に乗せるのでオーダーして下さい」みたいな感じで、受注発注形式のオーダーが出来るタイミングが年に数回あるんです。
しかし、このインデントってのがまた曲者で、有名なワインの良いヴィンテージばっかりリストに載ってるけど、いつも微妙に劣化してる美味しくないワインしか送ってくれない某社(結構有名…イニシャル入れたらばれそうなので消しました!)もあってですね、信用できる所からしか買えないんです。
僕が、フランスのネゴシアンの保有するワインの状態まで把握できているかというと、そこまでは流石に難しいのですが、実際にボルドーに行った時にアストルさんにアテンドして頂いたり、アストルさんの取引先のネゴシアンの担当者の方にアテンドして頂いたりした事で、アストルさんがどうやって取引先との信頼関係を構築し、状態の良いボルドーワインの供給を受けているのかをこの目で実際に見て来ましたので、ボルドーワインに関してはアストルさんにまず相談する事にしています。
アストルさんは「今回のインデントは〇〇ってネゴシアンなので状態良いと思います」って感じで、トレーサビリティが明確なのですが、これ、他ではなかなかこうはいかないんです。
2013年はオフヴィンテージではありますが、それが大きな問題とならない程の価値があるシャトーである事は間違いありませんし、周りの評価が高い年はこのお値段では到底手に入らないワインです。この機会に是非お試しを。