シャトー グラン ローネイ / コート ド ブール 2022 (フランス/ボルドー)
シャトー グラン ローネイ / コート ド ブール 2022(赤)
VT:2022
生産国:フランス
生産地:ボルドー
葡萄品種:メルロー70、マルベック30
コメント【商品説明】:
ボルドーでもちょいちょい見かけるようになって来たビオディナミ。いや、日本でもちょいちょい見かけるようになって来たビオディナミのボルドーと言った方が良さそうですが。
1924年の6月、人智学を探求した哲学者のルドルフ・シュタイナーさんが、「農業講座」の中で提唱し、この世の中にビオディナミと言う概念が誕生してからちょうど100年。ちょうど100年ですが、世の中がお祭り騒ぎになっていない事に不思議を感じる方はいらっしゃいませんか?
ビオワインに興味がある方は多くても、ビオディナミには全く興味がない人が多いんです。いや、全くいないと言っても過言ではないくらい、話題になっていませんよね。
それもそのはず、ルドルフ・シュタイナーさんが提唱したビオディナミは、宇宙の話、占星術、妖精さんの介入、4つのエレメント等、実態のつかめない要素がたくさん含まれていて、それを実践するにはそれこそ自分が妖精さんと直接会話でも出来ない限り実現不可能な状態。しかもその翌年、1925年3月にシュタイナーさんお亡くなりになります。謎が謎のまま、農業の効率化を目指したナチスドイツが取り入れようとチャレンジしますが、謎が謎を呼び「こんなの非効率でやってられるか!」と、ビオディナミだけでなく人智学自体も封印されてしまいます。なので、100年前の段階ではビオディナミって概念は生まれましたが、シュタイナーさん以外にはチンプンカンプンな状態だったという事で。
そして時は流れ、ついに現れるのですね、シュタイナーさんが遺言の様にこの世に残していったビオディナミ農法を実践する方が。その名はマリア・トゥーンさん。彼女は「そのままでは何をやったら良いかわからないから、思いつくまま手あたり次第やってみるか作戦」で次々と正解を導き出します。
人智学というオカルト的ともとられかねない哲学者の提唱した農業の仮設を、農業の専門家として、他の農業家が見てもわかりやすいように定義付けしていきます。ただ、シュタイナー農法とも呼ばれるビオディナミを言語化できても、なんでそんな事をすると効果があるのかって所を説明しようとすると、妖精さんのおかげでとか、そういった事も平気で盛り込まれますから、これが広く浸透するには至らなかったのが現実です。
でも、マリア・トゥーンさんが「シュタイナーさんが言いたかったのはこういう事かもよ」って事でまとめた、ホメオパシーの考え方と、種まきカレンダーと呼ばれる月の満ち欠けと共に行動するという部分は、現在のビオディナミに無くてはならないものとなっています。と言うか、マリア・トゥーンさんが不屈の闘志でルドルフ・シュタイナーが残した謎を長い年月かけて解明しなければ、現代でビオディナミ農法なんて誰も実践できなかったんじゃないかなって思うくらい。
僕は、ビオディナミのワインの中には好きなものも苦手なものもありますので、ビオワインなら何でも大好き!って方にはワインをご紹介する資格がないって思っていまして、お店の中ではビオディナミについてあまり触れないようにしているのですが、オルヴォーさんの説明にマリア・トゥーンさんのお名前をみつけてしまい、懐かしくなって少し書いてみました。
肝心のこのワインについて何も書けてないですけど、まあ良いでしょう。美味しいって事ですので。ボルドーはアストルさんから仕入れていれば事足りてしまうのですが、それでも皆様にご紹介したいなと思う程美味しかったので。
ビオでもビオじゃなくても、ワインは美味しければ何でも飲みますし、輸送と保管の状態が良ければ、世の中のワインはだいたいが美味しく楽しめると思っているのが僕ですが、ビオの良い所はその豊富な要素を、何物にも邪魔されずにストレートに楽しめるところかなと。
「人って7年周期で体を完成させるから、63歳でその頂点を迎えるよね」が持論のルドルフ・シュタイナーさん自身が63歳の時に提唱し、正解の無いなぞなぞの様にこの世に残したビオディナミは、マリア・トゥーンさんが仮説を立てて試験を繰り返し、ある程度の言語化に成功した後、ワイン業界では何人もの「ビオディナミの神様」が現れては更なる仮説を立て取り組み、信じる仲間に伝えられ今に至ります。なので、派閥的なものが生まれ、師匠によっては解釈が異なるというのが現実です。
まだ、100年しか経っていませんし、今の一般的なビオディナミがルドルフ・シュタイナーの伝えたかった正解かなのか、はたまたマリア・トゥーンさんがそれを再現出来ていたのか、ひょっとしてマリア・トゥーンさんはルドルフ・シュタイナーを既に超越してしまっていたのではないかとか、考え始めたらきりがないですし、その辺はがワインよりも面白い可能性がある神秘的な領域なのですが、僕の人生の残り時間ではそれを探求するには短すぎてしまうので、あまり深くに足を踏み入れないように気を付けています。面白過ぎて、止まらなくなるのが怖いんです。
美味しいワインを飲んでるくらいが丁度良いですよね。どうか皆様もお気をつけて。
誰得だよってお話ですが、僕の備忘録もかねて。
ビオディナミやシュタイナー農法、マリア・トゥーンの活躍が気になって眠れないよって方の為に、僕がビオディナミについて一番理解する事が出来た、植物の気持ちがわかる大学教授 板野肯三先生のYoutubeチャンネルのリンクを張っておきますね。
https://www.youtube.com/@kozo_itano
ここから先は沼ですからね、自己責任でお願いします。
以下、輸入元コメントです。
Château Grand Launay Rouge Côtes de Bourg
偉大なワイン産地、マルゴー村の向かいにあるコート・ド・ブール。この知名度の低いボルドーのアペラシオンがピエール・アンリ・コザンの本拠地です。ベルギー出身の醸造家。1970年代から家族経営しています。
ビオディナミ農法によって原点回帰したボルドーの代名詞的なワインです。
この畑は1841年まで遡ることが出来る平和で自然が保たれた場所です。2009年には国際有機憲章を取得しています。
私たちは自然環境の保護に重点を置き、農薬の使用を禁止しています。
私たちのワインは主に粘土質土壌から生まれるメルローとマルベックから造られます。深みのある色調、スパイスの香りと豪奢な果実味があります。
私たちは二人の従業員、ノエルとヴィルジニーと共に28ヘクタールの畑を管理しています。ノエルはカビ病やオイディウムから葡萄の樹を護る役割。ヴィルジニーは栽培全般。私は畑仕事からワイン造り、販売に携わっています。
妻のアメリーは建築家で、シャトーに事務所も構えています。
人工的なもの、樽などの木材、化学物質、これら全てを排除したワインを造ることが望みです。
葡萄そのものにフォーカスした果実味に溢れたワイン、これこそが私たちの考える“現代のワイン”です。私たちのワインは素晴らしい果実味があり複雑な構造も備えています。香りは開放的で一貫性があり、若い段階でも難解さがなく親しみやすさがあります。
私たちの葡萄畑は2009年から有機栽培に、2018年からビオディナミ栽培を取り入れてDemeter認証も取得しています。
私たちにとってこれは正しい論理的な方法でした。Demeterはワイン造りにとって最も“自然”な認証です。それが到達点ではないのですが私たちにとっては重要です。自然への敬意を常に意識するようになるからです。動物植物の生態系を私たちの活動に組み込んでいくことです。
Demeter認証の葡萄栽培はマリア・トゥーンの太陰暦に従って農作業をする必要があります。しかし最も重要なことは私たちは常に自然と繋がって生活をしているということです。気候、土壌、ヴィンテージ、そして植物そのもの。様々な要因が絡む世界の中でテロワールを最大限に表現する最善の方法だと考えています。