ドメーヌ ド クルビサック / ミネルヴォワ レ トラヴェルス ()
ドメーヌ ド クルビサック / ミネルヴォワ レ トラヴェルス 2015(赤)
VT:2015
生産国:フランス
生産地:ラングドック
葡萄品種:グルナッシュ、シラー、ムルヴェードルを各1/3ずつブレンド
コメント【商品説明】:
マルク テンペに最初に会った時の感想は「ちょっと小さなアンドレ ザ ジャイアント」。もじゃもじゃ髪の背の高いおじさん。彼の作るアルザスの白ワインが好きで、日本に来るたびに会いに行きました。いつだったか、彼が勧めてくれた南仏で作っている赤ワインで僕は初めてヴァン ド ソワフ的な、心に沁み込む的なマイルドど真ん中の赤ワインを体感します。「このワイン、そんな値段でいいの!?」って感想は、2007年前後にフランスワインを扱っていたソムリエは誰しも思ったはずです。規格外というか、他が可哀そうというか、そんなワインでした。
需要と供給のバランスは少しずつ崩れ、価格は徐々に高騰し、カジュアルなお店でグラスワインでポンポン開けられる価格ギリギリのラインになった頃に、飛び込んできた衝撃のニュース。ちょうど、クルビサックが「トレンドのワイン」から「流行りすぎてしまって、今はもう懐かしいワイン」へと姿を変化させた頃でした。
「クルビサック、テンペが作ってないんだって」
2014年は新たに就任した現在の女性醸造長マリー ブリュニルド クロとマルク テンペの合作としてリリースされましたが、2015年はマリー女史がメインで醸造した、ある意味ファースト ヴィンテージです。
マルク テンペというあまりにも大きな名前を失ったドメーヌ ド クルビサック。すぐに飲む機会も有りましたが、どうしても手元に置きたいという気持ちになれなかったのが正直な所。でも、それは過去のお話。
先日試飲した2015年のクルビサックが、当時さながらのインパクトを伴って僕の心にぐっと沁みてきました。とっても美味しかったのでご紹介せねばと思った次第です。むっちりとしていながらもしなやかで、こういうワインが作れる人は特別だよなって素直に思えるワインでした。2015年の気候が良かったのか、マリーさんのテクニック的な要因なのかは2016年を飲まない事には推測すらできませんが、とにかく今飲める2015年は抜群です。「テンペが作る赤」という加点が無くなりましたが、それでも十分。色眼鏡の必要はありません。
当時、テンペはカリニャンを入れてましたが、今回ご紹介するのは、グルナッシュ、シラー、ムルヴェードルのキュヴェ。舌の上で表面張力している様な丸みのある果実味。ユーカリやローリエなど固い葉の落ち着いたガリーギーな香り。奥に潜む調律を取る酸。単調になりがちな南仏のワインに求められる「わかりにくい複雑さ」が満載です。
以下、輸入元コメントです。
新風!マルクの後任に新女性醸造家、2015ヴィンテージより発進
無農薬× トラディショナル、ミネルヴォワのダイナミックなテロワールを再確認
世界のワイン産地で修行、辿り着いた女性ならではのエレガントなスタイル
世界遺産の城壁の街カルカッソンヌから西北へ20km、地中海を見下ろすミネルヴォワの丘陵地帯。標高の低いところがミネルヴォワ、高いところがミネルヴォワ・ラヴィニエールで、ドメーヌ・ド・クルビサックでは現在カーヴ近くに15ha、少し離れたところに高樹齢畑3.5haがあります。
アルザスのマルク・テンペがドイツの著名映画プロデューサー、ラインハート・ブランディッヒ氏とタッグを組み赤ワイン造りを始めたのが2002年のこと。あれから14年、きめの細かいマルクの指導の下、ビオディナミ農法により花開いたハイクオリティーなブドウ、周囲に森が広がる自然環境、朝晩の気温差を生む山間部の気候、乾燥した北風が無農薬栽培を可能にする地理的要因など好因子が重なり合い、これまでにもパワフルとエレガントが共存する上質なワインを生み出してきました。
そんなクルビサックに新しい風が吹き始めたのが2014年。ドメーヌ・ド・クルビサックとマルクとの契約終了を見越し、醸造長のポストが募集されました。その時に名乗りを上げたのが、現在の女性醸造長マリー・ ブリュニルド・クロです。2014年から夫と子供の3人でこの地へ移り住み、まずはマルクとの共作で『ミネルヴォワ レ トラヴェルス2014』を作り上げました。2015年より全てを正式にマルクから引き継ぎ、完全なマリースタイルとしてのワイン造りを開始、正真正銘の独り立ちです。
6人兄弟の3番目としてリヨンに生まれたマリー、父はギリシャ人で教師でした。19 ~ 21歳まで、イタリアに留学、クロルジャールやゴビを飲んで本気でワインを造りたいと思い、まずはパリのワインショップで働き始めました。一度はゴビに働かせて欲しいとお願いするもあえなく断られましたが、2004年
ついに「醸造方法など一切質問しない」という条件の下、お許しが下りたのでした。そこで6ヴィンテージ(05 ~ 10年)に携わり、その間に南アフリカ、ソロモン諸島、プロヴァンス、アルトアディジェ州、シチリア島などでワインや英語の勉強をしながら、収穫期には必ずゴビの所へ戻って働くというライフスタイルを続けました。その後、スペイン・プリオラートの高級ワインを造るテロワールアルリミットで3ヴィンテージ(11 ~ 13年)に携わり、濃いワインからエレガントなワインへと現在の自分のワイン造りのスタイルが定まったのは正にこの時だったと振り返ります。
畑ではブドウが環境に適応しやすいように一般的に使われるアメリカではなくフランスの台木を使ったり、カリニャンやグルナッシュグリの畑は昔ながらの混植スタイルでウドンコ病などの感染を広がりにくくしていること(同種だけの畑は病気が一気に広がる)、ゆとりのある間隔での植え方(密植はブド
ウにとってストレス)などトラディショナルな手法を高く評価し取り入れていて、「高樹齢の樹を大切に守っていきたい、たとえ周りの人が抜いたとしても私の畑では絶対に抜かないわ!」と胸を張り、「ミネルヴォワはとてもダイナミックで、生き生きとしたワインが造れるテロワール、これからが楽しみ」と抱
負を語ってくれました。マルクが着実に積み上げてきた舞台でマリーの新たなパフォーマンスが繰り広げられます。これからのドメーヌ・ド・クルビサックの進化にご期待ください。
※Les traversesはパーセル名でもありますが、農村の小道(抜け道)を意味しています。
更に以下、日本リリース当時の輸入元コメントです。懐かしかったので転載。
2005年初夏にアルザスのドメーヌ・マルクテンペを訪問した時に、満面に笑みを浮かべながらセラーから持ち出してきたのは何故か南仏の赤ワイン、それがクルビサックとの初対面。アルザスのビオディナミスト、マルク・テンペが南仏ミネルヴォワに新ドメーヌを立ち上げ、赤ワイン造りを始めたのは2002年。マルクが造るリースリングに惚れ込んだドイツの著名映画プロデューサー、ラインハート・ブランディッヒが 「美味しい赤ワインを一緒に造りたい」 とマルクに話を持ちかけたのがそもそものきっかけ。 「まずいワインを飲むだけでは人生は短かすぎる」 と二人は意気投合し、すぐさま赤ワインを造るのに最適な土地を探し回りました。そしてドイツ国境のアルザスから遠く離れたスペイン国境に程近いラングドック地方ミネルヴォワの中心部ラ・リヴィニエールに地質面でポテンシャルが高いと評価される古い畑を見つけ出し、ラインハート出資のもと、ドメーヌを設立しました。栽培醸造責任者はもちろんマルクが務め、アルザスとミネルヴォワ間700kmを車で片道7時間かけて行き来する生活が始まりました。
世界遺産で観光客が絶えない城壁の街カルカッソンヌから西北へ20kmの地中海を見下ろすミネルヴォワの丘陵地帯の中心がラ・リヴィニエール。ミネルヴォワの中でも単独で村名を名乗ることができる5つのうち最も優良な場所に位置し、日照量の多さ、湿度の低さ、適度な標高が幸いして、質の高いブドウを造り上げます。南仏でありながら山間に位置するため昼夜の気温の差がブドウにフレッシュ感を与えます。また、乾燥した北からの強風が無農薬での栽培を可能にしています。30haの畑の大半は粘土石灰質、トップキュヴェ・オルフェのムールヴェードルは砂岩質に植えられています。栽培方法はアルザス同様ビオディナミ、プレパラシオンは土壌に影響を及ぼす500番と、葉に作用する501番などを使用します。南仏において「ブルゴーニュのニュアンスを持つワインづくり」を目指し、収穫後直ちに冷温トラックを使用するなど南部特有のタニックで重い赤ワインを避ける手法を用いています。
8月終わりに収量を抑え健康に育まれたブドウを丁寧に手摘み収穫、選果除梗後、円錐型のトロンコニック樽かセメントタンクで自然発酵。その後ブルゴーニュの古樽またはセメントタンクで長期熟成を行うことにより、凝縮感と洗練された味わいを併せ持つワインが生み出されます。
マルクはワインをセパージュで表現するのではなく、絵に例え「セパージュはキャンヴァス、テロワールは色づけするカラー、生産者である私は絵描きだ」「色彩(テロワール)がカラフルであればワインにも複雑味が増し、キャンヴァスには色んな絵が描ける」と語ります。今後ますますのポテンシャルを感 じさせる注目ドメーヌです。
<メダル受賞歴と評価>
リリース年(2003)からゴーミヨーに掲載されるというのは、異例中の異例。05年版のゴーミヨーで三ツ星という高い評価を得ています。ラベル入りで紹介されているのが、AOCミネルヴォワ。もっとも点数が高く、熟成のポテンシャルが高いとされているのは、オルフェです。