リンソランス(ドニ バロー) / サンテミリオン グラン クリュ 2011 (フランス/ボルドー)
リンソランス(ドニ バロー) / サンテミリオン グラン クリュ 2011(赤)
VT:2011
生産国:フランス
生産地:ボルドー
葡萄品種:メルロー100
コメント【商品説明】:
サンテミリオンのややこしさの中で、異例の存在。
サンテミリオンのワインが好きな方も多いと思います。とても人気があるワインです。でも、この「人気がある」と言うカテゴリー的な要素は、ワイン選びを難しくします。だって、ものすごく美味しいワインではなくても、サンテミリオンと言う名前が付いていれば売れてしまうから。お値段と価値が比較的比例しているフランスワインの中では、ハズレを引いてしまう可能性がゼロではないというリスクを伴います。
でもまあ普通に美味しいワインが多い事がサンテミリオンの人気の理由な訳なので、その可能が低いことは確実です。でも、ゼロではない…。何が言いたいかと言うと、仕入れを担当する身としては、飲まずには買えないワインって事だという事です。
こちらのリンソランス、結果的には飲んで美味しかったからご紹介するわけですが、なぜそう思ったのかという事を回りくどく書いていきます。
まず、少しややこしいですが、サンテミリオンというワインは、
①サンテミリオン
②サンテミリオン グラン クリュ
③サンテミリオン グラン クリュ クラッセ
④サンテミリオン プルミエ グラン クリュ クラッセ
に分けられます。
※この他にサンテミリオンの周囲にある、サンテミリオン衛星地区ってのもありますがここでは割愛。
日本で良く見かけるのは②のグラン クリュで、安いものは2千円とかでも買えたりします。直訳すると「特級」で、これがブルゴーニュの数万円する様な特級と混同してしまい「特級なのに安い!」ってなりがちです。
しかし大まかに言って、ブルゴーニュ的な「特級」や、ボルドーの格付けに匹敵する様なワインは、③と④のクラッセが付いてる方になります。年代物になればお値段は天井知らずです。
そんな、ややこしさがサンテミリオンの魔力でもあり、楽しさでもあり、安いのに美味しいが見つかることもありますし、相応の対価を払えば最高のワインに巡り会える可能性もあります。
ところが、ここでご紹介しているリンソランスはそのどちらにも当てはまらないワインになります。
目指したのはもう一つ上のステップ。
サンテミリオンのややこしい格付けは、わかりにくさから消費者に対して不親切だと言う人もいます。しかし、消費者の為に最善という人もいまして、その理由は格付けの見直しのスパンの短さです。
ボルドーワインの中心となるメドック地区の格付けは、1855年から変わりません。それに対して、サンテミリオンの格付けは10年に一度の見直しがあります。
※すったもんだがありすぎる見直しなのですが、それも割愛。
消費者にとって最新の情報が公開される事も大きなメリットですが、僕はそれよりも造り手に夢があるってのが、ワインにとって一番ポジティブな要素ではないかなと思います。
フランスのワインは世界的に見ると、価格によってその優劣がわかりやすい部類にはなるかと思いますが、やはり価格だけでなく格付けという見える形で評価される事は、誰にとっても一定の達成感があるはずです。
リンソランスを一口飲んで、まず感じたのは「クラッセ付いてたっけ?」でした。ラベルを見ると評価はなく。サンテミリオン グラン クリュにしてはとても高級な部類になりますが、その実力はクラッセだと言われても疑う余地のない程で。
丸みのある濃密な果実味。舌触りは優しく、包み込む様な芳醇なアロマは複雑に変化します。生まれるプレミアム感は、それ相応の労力の対価です。ドニ バロー氏がこのワインに傾ける情熱が、いつの日か誰の目にも見ても明らかな形で評価される日を、今から僕も楽しみにしたいと思います。
クラッセ付いてしまったら、このお値段では到底買えないワインだということを最後に付け加えて、ご紹介とさせて頂きます。