こんばんは。
先日、青梅のブールバールさんから宴会コースに合わせたワインセレクトのご依頼がありまして、色々と考えて選ばせて頂きました。
ひとつひとつのお料理に合わせるのではなく、コース全体に合わせたワインで白赤各1本でとの事。
魚介系のカルパッチョから始まって、サラダ、キッシュ、ローストポーク、カレー鍋、などなど。
「どこ見てワインを合わせようかな?」ってくらいに幅広く。でも、やるからにはしっかりと合わせていきましょう。でも、ご家庭でお料理とワインを合わせる時って、得てしてそういうものだったりもするのだと思います。
カルパッチョに使う魚は仕入れによって変わりそうですが、季節がらブリとか来てしまうと赤で使えるものが限られてきます。サラダは今回はスルーしたとして、その次のキッシュがまた曲者です。卵とワインは基本的には合いません。豚の向こうにもっと手ごわいのが見え隠れしているんですけどね…。
あれこれ考え、結論。白はシュナン ブラン一択でした。カレーがどうしても目立つので、ピノグリとかゲヴェルツで行きたいなって事になりがちですが、脂の乗ったお刺身にアロマ系の白は飲みたくないなって。わがままな食べ合わせでも、広い懐でしっかりと受け止めてくれるシュナン ブランって葡萄はいつだってマリアージュの味方です。(逃げ道とも言いますが…。)卵の難しい味も受け流し、カレーのスパイスにも真っ向勝負!キレのある酸がそれを可能にしてくれます。
赤はカベルネ フランにしました。香りは控えめ、でも、重心の低い安定感。マットな果実味は主張こそおだやかですが、だからこそ相手を選ばず誰とでも一緒にマリアージュ。今回の様に、多種多様の対象とのマリアージュには欠かせない葡萄です。冬のお刺身でもオッケーなので、最初っから赤だけでも良し。赤から初めて、後半に白ってのもおすすめです。カベルネ フランで少し舌が麻痺したくらいで流し込むシュナン ブランはまた格別のはず。
【白ワイン】
ドメーヌ プティ メトリ / サヴニエール クロ ド ラマルシュ
蓮見ワインさんが輸入する、本格派のサヴニエール。
シュナン ブランは旨みと酸が特徴ですが、作り手のいよってバランスのとり方が異なります。
こちらのシュナンは淡白なものからスパイスを利かせたお料理まで万能に合わせてくれます。
なので、和食にとっても良く合います。特に、旨みの乗ってきた日本の冬の食材にばっちりです。
【白子・魚卵・蟹・海老・牡蠣・あんきも・豚の脂・寄せ鍋・キムチ鍋・カレー鍋などなど】と、良く合います。
【赤ワイン】
山梨県北杜市白州で作られる、まぼろしのカベルネ フラン。
こんなに美味しいのに、なんでもっとメジャーにならないのか。答えはきっと白州が勝沼から遠いから。バイヤーさんが勝沼で買い付けして満足して帰っちゃうんじゃないかなって思ってます。日本ワインブームだからとか、なんとなくお洒落だからとか、売れそうだからとかって理由で育てられている日本の西洋品種とは段違いのこちらのフラン。樹齢が高いんです。なんでそんな古くからカベルネ フランなんか植えてたかっていうと、これには政治的なお話が絡んでくるのでありまして。昔に植えられたカベルネ フランの苗木が、白州の砂地とのミラクルな適性を示し、今まさにその恩恵としてこちらのワインが楽しめる。ありがとうございます、金丸信さん。あなたのばらまいた葡萄の苗木のおかげで僕たちは美味しいワインが飲めますよ。
カベルネ フランは自らが香りをよどませる代わりに、食材の香り(特にネガティブなもの)を抑え込んでくれます。秋から冬の美味しいものを食べるのにベストな赤です。
【魚介全般・青魚・脂の乗った鮭や鰤・青みの野菜・パプリカ・牛肉・羊・鍋料理などなど】と、合わせると面白いです。
さて、いかがてしたでしょうか、色々な方向性の料理の時に活躍するワイン、お気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、シュナン ブランもカベルネ フランも【おせちにも合います】よ〜
チェックボックスで検索する「好みで探す」以外にも、ページのあちこちにある、検索ツールで葡萄品種やお料理の名前を検索すると、お目当てのワインにすぐにたどり着けるかも。
ブールバールさん、宴会コースですが飲み放題では無いようです。でも、おなか一杯になって、ワインは美味しくて。それでおひとり5500円で楽しめるそうですから、この二本のワインが楽しめるってだけでも、かなりのコスパなんじゃないでしょうか。
今年も残りあとわずか。
寒さも厳しくなってきました。お風邪などおひきになりませんように。それでは。
店主 吉澤 和雄
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