【チルド便か常温便かで迷ったら】

書いてたら長くなっちゃったんで、最初に結論を書きます。

 

商品ページに「チルド便必須」って書いてないワインが、常温でも大丈夫だって事では決してありません。

本当に美味しいワインが飲みたい方には、3月から11月の間はチルド便をお薦めします。強く強く。

2023年は12月も暑い日があるみたいなので、気温が16度を超えていたらチルドもご検討下さい。切に切に。

※16度で再発酵(状態変化)してしまうワインがあるんです。

 

夏場に常温で輸送したワインと、チルド便で輸送したワインの味わいに差が出るとしたら、皆さんはどちらをお選びになりますか?

「吉澤ワイン商店さんで買ったワインを、近所のスーパーで見つけたので買ってみたら味が全然違いました」ってお声を頂くことがあります。

明るいお店に並んでいるワインは、保管温度だけでなく太陽光や照明(LED含む)の紫外線で味わいが破壊されているものも多いので、輸送温度だけでそれを語る事は出来ませんが、僕はどうせ飲むなら美味しいワインが飲みたい派です。

 

亜硫酸が添加されないワイン等の、状態変化に対してリスク(主に再発酵)のあるワインに関しては、商品ページ内で「チルド便必須」と指定させて頂いております。それ以外のワインに関しまして、ご判断は難しいかとは存じますが現状お客様のご判断にお任せしております。

樽、タンニン、糖、亜硫酸などの状態変化に抗う要素がワインには含まれています。例えば、何℃ならば再発酵しないのかという議論も広く行われますが、ワインに含まれる酵母の活動温度帯や、残糖の量によってもまちまちなので、一概にこれといった基準がありません。

 

お届け先と当店の距離、お届け先と郵便局の位置関係や、ドライバーさんの周回ルートによってもリスクは異なります。

吉澤ワイン商店で販売しているワインは、輸入時の赤道でのダメージを回避できている(と、信じています)ので、そうでないワインよりもワインの体力は強いと思っていますが、これは精神論みたいなものでもあるので、あまり参考にはならないですし…

あとは、お客様がご購入後にすぐに飲まれるか、何十年と寝かせるかという事も判断基準になるかと思います。輸送で受けた過熱によるダメージは、その後にワインセラーで保管をしても回復する事はありません。徐々にその傷を広げていきます。

なので、私でしたら例えば半年以内に飲んでしまうようなデイリーワインでしたら、夏場でも常温で取り寄せるかもしれません。とっておきのワインで、しばらく寝かせておきたいと思っている場合ならば、少しの追加料金(当店では追加料金の内、660円のみご負担頂いております)で、安心が担保されるのならば迷わずチルド便を選択します。

 

「チルドだと温度が低すぎる!」っておっしゃる方がいる様なのですが、ゆうパックのチルドはガチガチの冷凍便ではありません。冷蔵温度帯(0~5℃)という事になっています。ちなみに黒い猫のマークのクール便も0~10℃なので、その辺のリスクは変わりません。

ひとつ気を付けて頂くとすれば、雨の日など湿度が高い日にチルド便が到着した場合にはすぐに箱を開けて頂いて、温度上昇による結露でラベルが濡れてしまわない様に気を付けて頂ければと。

某有名ワインスクールの先生が「ゆうパックのチルド便はやめましょう」って言ってたらしいんですけど、これはもう営業妨害以外の何物でもありません。そういう先生に教わってしまった生徒さんは、急いで忘れてしまいましょう。

 

 

と、言いつつも当店が他の宅配便では無く、青梅郵便局さんのゆうパックを選んだ理由は常温の配送が他社さんよりも優れていると思えたからでもあります。

①最終的にお客様のお手元まで運んでくれる配送トラックが小型である事がメリットのひとつ。たくさんの荷物が積めないので、常温の荷物が荷台に載っている時間が短くなる可能性が高くなります。

②私たちが契約する青梅郵便局は東京の西の端のターミナル局となっており、集荷されたワインは直接大型のトラックに積み込まれ、積み下ろしの回数が最小で済みます。

③元々国のお仕事だったからか、青梅郵便局で一時保管されるスペースが夏場にエアコンが効いていました。(2015年の当店開業当時のお話です)他の宅配便の集荷された常温の荷物を扱うスタッフの皆さん、袖もズボンもまくり上げて汗だくのイメージありませんか?それと比べたらワインにとっては天国と地獄の差です。

④いつぞやのリアルワインガイドさんの特集で、常温の荷物に履歴の取れる温度計を忍ばせて輸送して、輸送中の温度変化を調べるという企画がありました。何回か同じような企画をやっていたかと思うのですが、僕が見た回はゆうパックさんが一番温度が安定していた様に記憶しています。

⑤最後に付け加えるとすれば(これはエリアによっても違うとは思うのですが)飲食店のソムリエをしていた当時から、色々な運送会社の方にワインを運んできてもらいましたが、ゆうパックさんは輸送中の破損が少ない印象です。大きいトラックだと、ついつい箱を投げてしまうんですかね、年に一回くらいワインが割れてしまって届かないことがあるんです。

 

以上の理由により、夏場でも場合によっては常温で大丈夫とは思いながらも、リスクがゼロとは言えませんので吉澤ワイン商店としましては気温が16度以上になる可能性が高い「3月から11月はチルド便推奨」という事にしています。

当店で扱うワインの多くは亜硫酸(SO2)の添加の少ないワインが多いです。そういったワインは、一度劣化してしまうと二度とその風味や味は元に戻りません。耐性が弱いワインは、16度でも劣化します。これはもう個体差で、厳密にどのワインが何度で劣化するかなんて誰にも分らないのです。

 

「まだ4月だし、気温が18度だし、ワインセラー17度で設定するレストランもあるんだからチルドじゃなくても大丈夫かな」ってご意見は理解できます。でも、世の中に溢れる「微妙に劣化してる美味しくないワイン」は、そういった価値観から生まれているのかもしれません。

 

お客様の選択の自由を尊重しているようで、半ば強制するような内容となってますがご了承ください。

 

ご利用ガイド】にもございますが、常温便輸送時の熱劣化(主に再発酵)は返品対象外とさせて頂く場合もございます。また、チルド便必須の商品を常温便でご希望の場合は、追加料金を頂くかキャンセルとさせて頂きますのでご了承ください。

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