ドメーヌ デュ ポッシブル / コート ド ルーション ル フリュイ デュ アザール (フランス/その他の地方)
ドメーヌ デュ ポッシブル / コート ド ルーション ル フリュイ デュ アザール 2019(赤)
VT:2018
生産国:フランス
生産地:ルーション
葡萄品種:カリニャン70、グルナッシュ30
コメント【商品説明】:
待ってました、ベストコンディション。
「かつては還元や豆に苦しめられたポッシブル。目を見張る成長を遂げた赤」という、輸入元のオルヴォーさんの愛情籠ったコメントと共にデビューとなった2019年のポッシブルの赤。
すごくきれいです。
こんなこと言うと誤解を受けそうですが、出会った時からワインとしてすごく好きだったんですが、構成として香ってしまう還元に後ろ足を引かれてしまうワインでした。
吉澤ワイン商店でご案内している還元が香るワインは、その要素がグラスに移すと取れやすいかどうかって基準を設けていまして、そういった意味ではポッシブルのワインは個人的には好きだけど、お店で売るわけにはいかないワインって立ち位置でした。
そもそも、還元ってなんだって事になるんですが、これは理科(化学?)でやった【酸化と還元】って所で皆さんもお勉強されてるはずなのですが、記憶されてる方は少ないのではないかという言葉のひとつ。
ようは、酸化の対極にあるもの。つまりは、酸素を介さない化学変化。自然界で起こる化学変化は基本的に酸化反応ですから、言う寝れば不自然な変化って事になるのですが、自然派ワインにこの香りが目立つって所が理解を難しくします。
なんで、自然派ワインだと還元臭が付いてしまうのか。結論から言えばそれは、酵母さんの体臭です。酸素が足りない悲鳴です。
赤ワインを醸す時、発酵槽には潰した果実の皮がたくさん入っています。発酵は熱を生むので、対流が起こります。浮遊物の皮は、液体内で浮上し液体表面で固まります。
これが蓋になってしまうと、液体内の酵母に空気中の酸素が届かなくなってしまいます。
ブドウの果汁をワインに変換してくれる酵母は生きています。酸素を吸い、糖分を食べ、熱を発し、アルコールを排出します。計算式は化学変化として表されますが、そこで行われているのは酵母さんの日常。
酵母さんが息苦しくなるので、ワインの醸造家は発酵中に出来てしまった蓋を壊します。昔のお風呂のかきまぜ棒みたいなもので混ぜたり、上から発酵中のワインをかけて穴をあけたり。
「昔はそんな事してなかったからそんな事をしたら不自然だ」って理由なのか「酸化防止剤を入れたくないから、酸化耐性のある還元状態にしたい」のか、私には理由は分かりませんが、一部のワイン生産者は蓋を壊さず(又は壊す頻度を少なくし)酵母への酸素を遮断します。
そうするとどうなるか。ただ単純に酵母が苦しくなるだけです。それでも、酵母は頑張ります。目の前に糖分がある限り食べます。そしてアルコールを造ります。でも、苦しいです。人間も、ストレスを感じると冷や汗かきますよね、ストレスって体臭きつくなりますよね、すなわち、還元臭って酵母が息苦しい中で活動する中で発せられた声にならないの悲鳴の結果です。酵母さんに心があるかって言えば、そこは微妙なとこですが、そんな可哀想な状態のワインを「自然だ」といってありがたがって飲む人がたくさんいます。そんなワインのどこが自然なのか。
たしかに、一番最初のワインが出来た瞬間に、蓋を壊したという事も無いでしょう。でも、それを自然なワインと呼ぶのはものすごく不自然なので、吉澤ワイン商店は自然派ワインという表現はしていません。
還元しているワインが少しずつ酸化する事で、通常に戻る事ができ、そういった理屈で酸化防止効果のあるSO2(亜硫酸)を添加する必要が無いといった理屈は確かにまかり通るものですが、還元臭が取れるタイミングってなかなか分かりませんし、その香りがしたまま消費される事も多く、生産者の「還元が無くなった時に飲んでほしい」といった思いは汲み取られることがほとんどありません。むしろ「これこそが自然派ワインの良い香りだ!」とか言ってる愛好家の方、多いです。
ワイン醸造のお手伝いをさせてもらった時に、間違ってSO2の希釈液を飲んでしまったこと(とても危険なので絶対に真似をしないでください)がありますが、還元臭よりよっぽど臭くありませんし、私としては自然界には偶発的にしか存在しない還元状態の飲み物を体内に取り込む方が、検証され認可された健康被害が無いとされるSO2濃度を守っているワインを飲むよりもよっぽど健康に影響あるのではないかと思っております。(個人の感想です)
で、何が言いたいかと言うとですね、ドメーヌ デュ ポッシブルのワインはとても美味しいのですが、それは還元が取れた時のお話しで、輸入元のオルヴォーさんはその辺をとても丁寧に扱われているので、自社で還元が弱くなるまで保管してからリリースされるので、とても良心的で信頼のおけるインポーターさんだって事がまず一点、もう一点はそんなポッシブルからリリース食後から素直に楽しめるワインが出てきたって事が、ものすごく嬉しいって事です。
吉澤ワイン商店として、好きだったワインを新鮮な状態でお届け出来ることが嬉しくて、ついつい言葉が多くなりましたが、何かのついででも結構ですので是非お試しください。
果実味と酸のバランスがとても良く、飲み心地が素晴らしいワインです。
以下、輸入元コメントです。
Domaine du Possible
フランスとスペインの境界ルーション地方にあるランサックの町にドメーヌ・デュ・ポッシブルの醸造所はあります。オーナーであるルイック・ルール氏はアルザスのブルノ・シュレールで経験を積みました。
長い間ブドウ園を探していたある日、この土地の山道を彷徨っていたら、青や赤、ラメ入りなどの様々な色をした石が道端に落ちていたそうです。そして顔を上げた瞬間、綺麗に並んでいたカリニャンの畑に一目惚れをしてしまったのです。
ここでワインを造りたいという気持ちが強くなり、彼はすぐに樹齢100年以上のカリニャンの区画を購入したのです。自分の畑を手に入れたものの、ルイックには醸造が出来るカーブもなければ住む家も無い状況でした。仕方なく車内で睡眠を取り、アグリ川で体を洗う生活を送っていました。一刻も早く住む場所を見つけなくてはと焦ったルイックは、ちょうど空き家になっていた協同組合の醸造所を見つけました。
そして2003年、同じ町で自然派ワインを醸造しているドメーヌ・ル・ブ・デュ・モンドのエドワード・ラフィット氏と共にこのカーブを購入し、標高400mの山々に広がるぶどう畑で本格的に活動を開始したのです。
同時期に独立したラングロールのエリックと協力してREMISE試飲会組織を立ち上げ、若手生産者たちとの交流も行っています。2.5Haの畑は、片麻岩、複雑に入り組んだシスト、花崗岩など多様な土壌特性を持っており、その複雑さをワインに生かすような「ビオロジック」栽培を行っています。
『僕はナチュラルにブドウを育てています。除草剤や殺虫剤は一切使用しないし、もし何かを撒くとすれば、植物で造った煎じ薬、もしくはボルドー液くらいです。手摘みで収穫を行った後、ブドウを冷蔵室に保管して、ブドウが傷まないように、ポンプは一切使わず、重力でタンクに流します。そして自然酵母でアルコール発酵が始まります。シラー以外は房丸ごと発酵樽に入れます。その方が濃厚な味に仕上がるのです。そしてワインの美味しい成分が逃げてしまわぬようにフィルトラシオンもコラージュもしません。』
蔵元の名前「Possible」とはフランス語で「可能なこと、できるだけ」という意味。
自分の目指すワインに向けて可能な限り突き進むんだ、そうすればできるんだ、という気持ちのあり方を示しています。
Le Fruit du Hasard Côtes du Roussillon
品種:カリニャン・ノワール70%、シラー30% 樹齢:30~40年
畑・土壌:2011年より新しく手に入れたコディエ・ド・フヌイエードの区画
シスト・泥灰土、標高400M 冷涼な区画で葡萄の成熟はゆっくりと進みます。
醸造:カリニャン、シラー共に除梗せず全房のままタンクに入れ混醸。
先にシラーを入れピジャージュ、その上から破砕しないカリニャンを追加し
15日間マセラシオン・セミ・カルボニック。ルモンタージュ。
熟成:タンクで8か月間。濾過・清澄せず。瓶詰め前にSO2を5mg/L 添加。
ワイン名は「偶然、偶然の産物、運命のいたずら」といった意味を持ちます。ファーストヴィンテージとなった2003年に本当に偶然と忍耐を要した年だったことに由来して命名しました。
赤から黒へとグラデーションを描く山盛りの日本のサクランボ。
甘く熟した果汁の香り、赤く溌溂と酸を伴う果実の生き生きとした香り。
傑作を思わせる2019年を香りの段階から感じていただけると思います。
標高の高い畑ならではの張り出しの高い酸のトーンに支えられ広がりある果実の要素。
奥から塩味すら感じさせる風味が、スイカに塩のような錯覚で果実の純度を引き立てます。
余韻まで果実の要素がランダムながらも導かれるように重なり上向きに抜けていく。
この価格帯のナチュールとして素晴らしい完成度です。
二日目の豆なし。